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Convergence Indicators

概要

Convergence Indicators チャートは、多目的最適化のパレートフロントの収束状態を、トライアルの推移から計算します。 ドロップダウンで以下の 4 種類の収束指標を切り替えられます。

指標 方向 説明
Hypervolume (HV) 大きいほど良い パレートフロントと参照点が囲む目的空間の体積。
IGD+ 小さいほど良い 参照セットの各点からパレートフロント最近傍点までの平均距離(修正版 IGD)。
ε-indicator 小さいほど良い 参照セットの全点をε支配するために必要な最小のε値。
R2 小さいほど良い 理想参照セットからの期待ギャップを測るユーティリティベース指標。

各指標の使い分けは「指標の選び方」、定義は末尾の「指標の定義」を参照してください。

注意: これらの指標は目的関数が2つ以上の多目的最適化でのみで計算されます。

Study 間の比較

Study を追加したときの扱いは、指標によって異なります。

指標 比較時の扱い
IGD+ / ε-indicator / R2 全系列を共通参照セット(全 Study の和集合から算出)に対して評価し、[0, 1] に正規化します。同一グラフで直接比較できます。
Hypervolume 参照セットではなく、共通の参照点(和集合の nadir + 10% マージン、または下記の手動指定値)を全系列で共有します。値は [0, 1] には正規化されず、生のハイパーボリューム単位のままです。

操作

パン・ズーム・リセットは、共通の チャートの操作方法 に従います。

項目 説明
指標セレクタ 上部のドロップダウンで指標を切り替えます。グラフは自動的に再計算されます。
参照点(Hypervolume のみ) 目的ごとに自動算出(nadir + 10% マージン)した参照点を、手動で上書きできます。

読み方

カーブが単調に改善している場合は、新しいトライアルがパレートフロントを継続的に拡張しており、多目的最適化が順調に進んでいることを示します。序盤に急な改善が見られ、その後しだいに変化が小さくなる形は、最適化が早い段階で良い解を見つけた後、収束に向かって改善が鈍化していく典型的なパターンです。

一方で、途中で指標が大きく跳ぶ場合は、新たに見つかった解がパレートフロントを大きく押し広げたことを意味します。 逆に、カーブが横ばいになって改善が見られない場合は、パレートフロントの品質が頭打ちになっています。 これは収束している可能性もありますが、トライアル数を増やすか、別のサンプラーや設定を試しても結果が大きく変わらないことを確認してください。

4つの指標がありますが、指標間の絶対値の比較には意味がないため、同じ指標で複数の Study を比較することが重要です。

指標の選び方

4 つの指標はいずれも、パレートフロントがどれだけ良いかを 1 つのスカラーで表します。 ただし、測る側面と計算の性質が異なります。

指標 方向 性質 選ぶべき場面
Hypervolume 大きいほど良い 支配体積(参照点のみで計算、生の単位) 収束と広がりを単一の体積で総合評価したいとき
IGD+ 小さいほど良い 参照集合への平均距離(mean 型)、弱パレート整合 収束の平均的な近さを測る標準的な指標
ε-indicator 小さいほど良い 参照集合への最悪ケース距離(max 型) フロントの穴(届かない部分)を敏感に検出したいとき
R2 小さいほど良い 重み付きユーティリティの期待ギャップ 計算コストを抑えつつ、多様な選好方向での収束を平均的に評価したいとき
  • 標準的で平均的な収束を見たいなら IGD を選びます(総合評価なら Hypervolume)。
  • フロントに届かない部分(穴)を厳しく見たいなら ε-indicator を選びます。
  • 軽量に、かつ複数の選好方向を平均的に扱いたいなら R2 を選びます。
  • 複数の比較 Study を同じグラフで正規化して並べたいなら、IGD+ / ε-indicator / R2 が使えます。これらは [0, 1] に正規化されて比較できます。Hypervolume は共通参照点で評価されますが、生の単位のまま正規化されません。

指標の定義

ハイパーボリューム

点集合 PP が支配し、参照点 rr で区切られる目的空間の体積:

HV(P;r)=Leb ⁣(pP[p,r])\mathrm{HV}(P; r) = \mathrm{Leb}!\left( \bigcup_{p \in P} [p, r] \right)

  • 参照点は通常、全体の nadir(各目的の最悪値)+ 10% マージンで自動算出され、Convergence Indicators 上で手動指定もできます。
  • 支配体積が大きいほどフロントが優れており、収束と広がりを単一の体積で表します。
  • 他の 3 指標と異なり参照集合を必要とせず、参照点だけで計算できます。

IGD+

参照集合 ZZ の各点から近似集合 AA 内の最近点までの「修正距離」 d+d^+ の平均:

IGD+(A)=1ZzZminaAd+(a,z),d+(a,z)=jmax(ajzj,0)2\mathrm{IGD}^+(A) = \frac{1}{|Z|} \sum_{z \in Z} \min_{a \in A} d^+(a, z), \qquad d^+(a, z) = \sqrt{\sum_j \max(a_j - z_j, 0)^2}

  • d+d^+aazz より悪い次元のみを足し合わせるため、近似集合が参照集合を(弱)支配する限り悪化しません(弱パレート整合)。
  • 平均(mean)型の指標です。値が小さいほど収束していることを意味します。

ε-indicator

近似集合を平行移動して参照集合の全点を弱支配するために必要な最小の移動量:

Iε+(A,Z)=maxzZminaAmaxj(ajzj)I_{\varepsilon+}(A, Z) = \max_{z \in Z} \min_{a \in A} \max_j (a_j - z_j)

  • 外側が max\max の最悪ケース(worst-case)型で、フロントの穴(届かない部分)に敏感です。
  • 近似集合が参照集合を厳密に支配する場合は負値を取り得ますが、Convergence Indicators では Iε+0I_{\varepsilon+} \ge 0 となります。

R2

多数の重み付き Tchebycheff スカラー化 maxjwjaj\max_j w_j a_j の下で、近似集合が ideal 点にどれだけ近いかを平均:

R2(A;W)=1WwWminaAmaxjwjajR2(A; W) = \frac{1}{|W|} \sum_{w \in W} \min_{a \in A} \max_j w_j, a_j

  • 重みベクトル WW は Das–Dennis 単体格子で生成され、各目的は [0,1][0,1] に正規化(ideal = 原点)されます。
  • ハイパーボリュームより計算コストが低く、収束と分布の両方に感応します。