ARD
概要
ガウス過程(GP)サロゲートを ARD(Automatic Relevance Determination, 自動関連度決定)カーネルで学習すると、入力次元ごとに 1 つの長さスケールハイパーパラメータが得られます。 この長さスケールの相対的な大きさは、応答曲面が各パラメータにどれだけ敏感かを表す、軽量な大域的指標です。
ダッシュボードでは、Importance チャートの ARD 手法として提供します。 選択すると、対象の目的に GP-FITC サロゲートを学習し、パラメータごとの関連度を表示します。 その GP の検証 R² も併記するため、スコアをどこまで信頼してよいかの目安になります。
PDP が「パラメータを動かすと応答が どう 変わるか」を示すのに対し、本指標はパラメータごとの平滑さに基づく感度をスカラー 1 つで与えます。 両者は互いを補完します。
- GP-FITC の学習に基づきます。混合エキスパート(GP-MOE)はエキスパートごとに長さスケールを持ち、集約が一意に定まりません。また Ridge と LightGBM は長さスケールを持ちません。これらのモデルでは ARD 重要度を算出できません。
算出方法
ARD 重要度は通常の GP 学習の副産物であり、専用の感度計算は行いません。
- データの組み立て。 数値パラメータ列(およびラベル符号化したカテゴリ列)を入力行列 、選択した目的を目標 とします。入力は min-max で にスケールし、単位の異なるパラメータ間で次元ごとのハイパーパラメータを比較できるようにします。
- GP-FITC サロゲートの学習。 ARD Matérn 5/2 カーネルで を学習します。
カーネルは入力次元ごとに 1 つの長さスケール を持ちます。 この次元ごとの自由度が「ARD」の意味するところです。 長さスケール は、信号分散 、ノイズ分散 とともに、FITC 周辺尤度の下界を最大化して同時に推定されます(egobox-gp、勾配不要の COBYLA 多点スタート)。 これはサロゲート最適化が実行するのと同じ学習工程です。 誘導点、FITC 下界、最適化の詳細は ガウス過程 を参照してください。 長さスケールは手で与えるのではなく、$y$ を最もよく説明する値が選ばれます。 だからこそ関連度の指標になります。 目的がほとんど反応しないパラメータは長い(ほぼ平坦な)長さスケールへ、影響の大きいパラメータは短い長さスケールへと押しやられます。
- ARD パラメータの読み出し。 学習後、egobox は次元ごとの相関パラメータ を学習済みカーネルから追加計算なしで公開します。$\theta$ と長さスケールの対応は次節で説明します。
- 重要度への正規化。 合計が 1 になるよう正規化します(下記 重要度の式 を参照)。
ダッシュボードは、スコアの隣に学習済み GP の交差検証 も表示します。 ARD 関連度は、サロゲートが実際にデータへ当てはまって初めて意味を持ちます。 が低い場合は、ランキングを慎重に扱ってください。
ARD 長さスケールと θ の規約
本ダッシュボードは egobox-gp の Matérn 5/2 ARD カーネルを使います。 カーネルは入力次元ごとの ARD 相関パラメータ を公開します。 これは正規化入力(各パラメータを min-max で にスケール)上で学習されます。 入力を正規化することで、物理単位の異なるパラメータ間でも を比較できるようにしています。
egobox / SMT のパラメータ化では、$\theta_d$ は長さスケール と反比例の関係にあります。
したがって が大きいほど、次元 の長さスケールは短くなります。 これは、その軸に沿って曲面が速く変化すること、すなわちパラメータ により敏感であることを意味します。
重要度の式
重要度は合計が 1 になるよう正規化した です。
総和が非正の場合、または に非有限値が含まれる場合は、重要度を表示しません。 は GP の入力列順(パラメータ名と同じ順序)でインデックスされるため、$\operatorname{importance}_d$ はパラメータ に直接対応します。
解釈と注意点
- 値が大きいほど、そのパラメータに沿って応答曲面が急峻に、あるいはうねって変化します(関連度が高い)。値が小さいほど、その軸方向ではほぼ平坦です。
- これは学習済みカーネルに由来する、大域的で平滑さに基づく感度であり、分散分解(Sobol)でも局所効果(SHAP)でもありません。GP の当てはまりに対する関連度を測るため、GP 自体の信頼性(検証 )に依存します。
- 正規化した 入力上で計算するため、物理単位あたりではなく、正規化レンジ単位あたりの感度を表します。
- 素早いスクリーニングに使い、形状は PDP で、交互作用が重要なら分散ベースの手法(Sobol)で確認してください。
関連ページ: PDP、Sobol、Surrogate Optimizer(同じ GP 系を応答曲面の最適化に用います)。
参考文献
- Rasmussen, C. E., & Williams, C. K. I. (2006). Gaussian Processes for Machine Learning. MIT Press. https://gaussianprocess.org/gpml/