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箱ひげ図

概要

箱ひげ図(box-and-whisker plot)は、分布を 5 つの数値に要約した図です。 使う 5 つは、範囲内の最小値、第一四分位数、中央値、第三四分位数、範囲内の最大値であり、これを五数要約と呼びます。 これらをコンパクトな箱とひげの図形にまとめて描きます。

ヒストグラムとの違いは、1 つの分布を細い図形 1 本にまで圧縮する点です。 1 本が細いことで何本でも横に並べられるため、複数の変数間で分布を比較する用途や、1 つの変数を複数のクラスタ/グループに分けて比較する用途に、特に適しています。


数式

四分位数は、順序統計量間の線形補間によって計算します。 これは NumPy のデフォルト手法 "linear"(type 7 とも呼ばれる)と同じ方式であり、本アプリでもこれを採用しています。 分位数の定義は type 7 のほかにも複数あり、どれを選ぶかで同じデータでも値がわずかにずれるため、もっとも広く使われている NumPy のデフォルトに合わせています。 ソート済みの標本 x(1),,x(n)x_{(1)}, \dots, x_{(n)} と分位点 q[0,1]q \in [0, 1] に対して:

h=(n1)q,Q(q)=x(h+1)+(hh)(x(h+2)x(h+1))h = (n - 1) q, \qquad Q(q) = x_{(\lfloor h \rfloor + 1)} + (h - \lfloor h \rfloor) \left( x_{(\lfloor h \rfloor + 2)} - x_{(\lfloor h \rfloor + 1)} \right) Q1=Q(0.25)Q_1 = Q(0.25)Q2=Q(0.5)Q_2 = Q(0.5)(中央値)、 Q3=Q(0.75)Q_3 = Q(0.75) です。

四分位範囲(IQR)は IQR=Q3Q1\mathrm{IQR} = Q_3 - Q_1 であり、Tukey フェンスは次のように定義されます:

下側フェンス=Q11.5IQR,上側フェンス=Q3+1.5IQR\text{下側フェンス} = Q_1 - 1.5 \cdot \mathrm{IQR}, \qquad \text{上側フェンス} = Q_3 + 1.5 \cdot \mathrm{IQR}

ひげ(whisker)は、フェンスの値まで単純に伸びるわけではありません。 各ひげは、そのフェンスの内側にある実データ点のうち、もっとも極端な値まで伸びます。 ひげの端が必ず実データ点になることで、図の両端から実際に観測された範囲を読み取れます。 フェンスの外側にあるデータ点は外れ値として扱われ、ひげに吸収されず個別にプロットされます。


特性・限界

  • 係数 1.51.5 は、形式的な仮説検定から導かれた値ではなく、慣習的な閾値です。正規分布に従うデータであれば、この閾値はおおよそもっとも極端な 0.7%0.7% の点を外れ値としてフラグ付けする程度になります。これは普遍的な統計法則というより、広く採用されている経験則(John Tukey が導入)であるため、フラグが付いた点がそのまま異常なデータを意味するわけではありません。
  • 箱ひげ図では多峰性が見えません。箱ひげ図が保持しているのは五数要約の 5 つの数値だけなので、その間で分布がどう分かれているかという情報は落ちます。二峰性の分布と単峰性の分布であっても、五数要約が一致すれば、見た目上はまったく同じ箱ひげ図になり得ます。分布の形そのものが重要な場合は、ヒストグラムや密度プロットと併用します。

アプリ内での利用箇所

  • Box Plot ウィジェット:目的関数群またはパラメータ群の分布を並べて比較します。スケールが異なる列同士は箱の大きさが極端に違ってしまうため、min-max 正規化を有効にして比較します。

参考文献

  • Tukey, J. W. (1977). Exploratory Data Analysis. Addison-Wesley.